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本記載内容について、動画でもお話ししましたので、ご参考にいただければと思います。
“逆”ピラミッド人口構成の限界(ジジイバース)
ご存知の通り、日本では少子高齢化によって人口構成が「逆」ピラミッドの形を帯びてきました。
ここ5年ほどFuturistやイノベーター寄りのことをする中で、この構造の「病魔」とも言える場面に多く直面してきました。いわゆる、「人(票)」も「金(資産)」も、高齢層にあり、高齢層のカルチャーにほとんどが最適化されるという構造です。あらゆる意思決定が、日常レベルでも、国家レベルでも、この逆ピラミッド人口構成の日本という構造の中では、「レイトマジョリティ」とも言える高齢層のカルチャーに最適化した方が、数字も結果も出るため、大小含めすべてがそこに最適化されていきます。私たちFuturistは、この”逆”ピラミッド人口構成の世界を「ジジイバース」と表現してきました。(※ちなみに、全ての高齢の方を揶揄しているわけではありません。精神的に高齢化している全体の構造の課題を指摘しています)
この構造の課題は、「新陳代謝(本来の次世代への循環)が適切に起こらない」ことです。
まるでタイタニック号が大海にゆっくりと沈んでいくかのように、日本というかつての豪華客船は、エンジンに再投資することができず、傾いて様々な機能不全(未来に希望が持てない状況)を起こし始めています。
グローバル(全世界)は “まだ” ピラミッド人口構成(α世代の力)
このような構造の課題で限界を感じ始めていた私は、6月にマレーシア(クアラルンプール&ペナン)に行ってきました。日本という構造の外側に「グローバル・ハブ」を構築していく構想を持つ 田原真人 氏からの誘い(金土日は ペナン・ラーニングジャーニー にも参加させていただきました)もあって向かいました。
ここ3年、α世代 をキー(鍵)と見ていた私は、α世代の熱量が向けられる Robloxのコミュニティ構築 など、布石を打ってきました。ただし、これはグローバル統計上の現象からの洞察によるもので、コロナもあり、日本という “逆”人口ピラミッド構造の中で、ここ数年体感としては「〜はずだ」みたいなFuturism(仮説・推察)だけで動いてきました。
しかし、日本の外側に実際に行ってみて、「まず街に若者が多い(若者だらけだ)」と感じ、「日本の若者よりファッショナブルで活気がある(かつての発展途上のイメージはない/もう日本と変わらない水準)」を感じ、若者のパワーを感じました。それもそのはずで、グローバル全体で見れば、まだ人口構成は正のピラミッドの形をしているからです。
上の図のように、日本から外側に出て、グローバルの世界全体では、”まだ” 人口構成は正のピラミッドで、若者に活気があります。
私が注目する「α世代(メタバース・ネイティブ)」は、2025年には「約25億人」となり、世界人口の3分の1程度に到達します。
今回、ペナンへの視察に、不登校の子たちの団体運営の方々とも行きましたが、”逆”人口ピラミッド構成の日本(ジジイバース)では、高齢カルチャー中心がゆえに、α/Z世代の子たちのポテンシャル(個性)が引き出されず、上の世代が作った世界に最適化できない子供たちは絶望の淵に追い込まれているという状況とのことです。しかし、それは単に、”逆”人口ピラミッド構成(ジジイバース)の「中」だから、認識されず・評価されず、理解されなくて自信を失っているだけではないか?と考えられます。
つまり、“逆”人口ピラミッド構成の日本(ジジイバース)の “外側” に環境をつくり、世界のα世代等(次世代の活気)に対して日本の子らのポテンシャル(個性)をインタラクティブさせていくことで、本来の次世代の循環が創り出せるのではないか?という仮説が生まれます。
外(グローバル)のさらに外(マルチバース)へ
さらに先まで考えていくと、グローバル世界全体でも2060年前後からは人口減少(少子高齢化)が予測されています。そうなると、現在の日本のような状況になることは目に見えてきます。
また、仮に単にグローバルに出ていくだけでは、面白みが足りません。
そこで、Futuristとしては、今のSeedsから未来を見据えて、外(グローバル)のさらに外(マルチバース)の文脈(大きな流れ)に重ねていくのが良いだろうと思っています。「次世代につながる大きな流れ」に重ねることで、彼らの個性をさらに引き出すことになるだろうと思っているからです。
この「マルチバース」とは何を言っているかというと、メタバースのような仮想空間世界と現実の空間世界が融合(相互に作用)していく概念を言っています。大人にはピンとこない方が多いかもしれませんが、まず、お子さんがやっているゲーム(3D)の世界は、次のソーシャル(社会基盤)になっていきます。これまでは現実とは切り離されたかのような世界に思っていたかもしれません。だから何の役にも立たないと思っている方が多いと思います。しかし、今、すでにその状況は変わりつつあります。
Z世代のソーシャルインフラは、YouTubeやTiktokになったことはご存知と思います。特にYouTubeはどの産業も参入を始めています。「では次は何か?」その予兆がα世代で始まっています。月間アクティブユーザ2.7億人を超えるRoblox(時価総額5兆円前後)/α世代が最も利用するメタバースでは、YouTubeと同様、ユーザが自分の作品を作り(ノーコードローコードで作れます)、そこに収益が還元されるクリエイターエコノミーとなっています。YouTuberと同様、10代で多くの子が、「自分の好きなこと・表現」で、生きていける系が構築でき始めています。
これは今後子供たちのゲームの世界だけにはなりません。現在でもすでに、メタバースのアバターの洋服代に、現実の洋服代以上にお金をかけるのが当たり前のα世代は、5人に1人が毎日アバターの洋服を着替えています。彼らの多くはアバターの体験から現実のインスピレーションを得ており、2022年は多くの世界的ブランド企業がここに参入しました。アバターだけではありません。おそらくWebのSEOやHPの概念も変わります。シンガポールのチャンギ空港は、空港をデジタルツイン化(現実のようなメタバース化)するだけでなく、そこにアイコンとなるキャラクターを登場させたり、現実にはないフィクションのアトラクションや、様々な世界観表現を加えています。その体験を通して子供たちは、誰よりもシンガポールのチャンギ空港を知り、またその世界に没入します。没入した子供たちのアクションで経験値やポイントが貯まり、それが現実の航空券に変わります。それによって、家族旅行としてシンガポールに行くのです。このゲームのような没入体験は、現実の経済にも波及します。
参考:Robloxなどについて↓
これは現在ではまだ画面の中と現実がつながり始めているに過ぎない例ですが、さらに言うと、先日Apple Vision Pro(ARメガネ)が発表されたと思いますが、今後そのような、スマホに変わる「空間コンピュータ」が登場してきます。
現実の空間にも、様々なものが見えてきます。現実の空間が仮想の空間にも反映されることもあります。「空間の重ね合わせ」が起こってきます。空間のネットワーク化です。
ここにWeb3インフラが基盤として重なった時、これまでの円やドルのような国家経済/法定通貨経済/グローバル経済とは異なる、多様な経済が新たにビッグバンのように誕生していきます。それにより相対的に、「これまでの法定通貨経済は、たくさんある世界の中の一つ」になっていきます。(尺としては、5〜20年程度で変化が加速するでしょう。α世代が大人になっていく過程でこのような現象が起こっていく可能性があります)
参照:ネットワーク国家(The Network States)↓
“閉じない系(枠の外側)” で 個性爆発(世界創造)をする
さて、上述の内容で、かなり飛躍した内容のように感じられる方もいらっしゃったかもしれません。
しかし、正直、かなり高い確率で起こる未来と考えられます。なぜなら、すでにその予兆がSeedsとして出てきているからです。要素技術もある。まったく根拠のない話ではなく、ほぼほぼ起こるリアリティです。
ただし、どのようなスピードでそうなっていくか、具体的なタイミングは難しいです。これは、今あなたがいるコミュニティのカルチャーによっても感じ方が変わるかもしれません。
だからこそ、「今あなたがいる “系”(例:”逆”人口ピラミッド構成の日本/ジジイバース等)」の中の体感だけで捉えることは危険です。将来のある若者は特に。
上図のように、”逆”人口ピラミッド構成の日本(ジジイバース)の「外側へ」インタラクティブ(相互作用)を拡大し、さらには、次の時代のマルチバースへインタラクティブ(相互作用)を拡大していくことが、「新陳代謝の正(本来)の循環」に中長期で順張りと想定できます。
Futurism(時流/大きな文脈)と個性(熱量)の重なり
若い子たちは(一部の直感的な大人も含む)、”逆”人口ピラミッド構成の日本(ジジイバース)の「中」で認識されない・評価されない・理解されないことで個性(熱量)を発揮できないならば、外(グローバル)へ外(マルチバース)へ、自身の “系” を拡大させていった方が良さそうです。
そして、下図のように、大きな文脈/時流(Futurism)と自身の個性(熱量)を重なるところを探り当てることが、大きな飛躍に有効かと思われます。どのような個性も、時代と重なる時により輝くものです。
3つのベクトル(アクション方向性)
なお、上記の分析・仮説に終わらず、ネクストアクションとして多くの方と理想の実現に動きたいため、今後に向けて、以下の3つのベクトルを想定しました。
- 外(グローバル)へのブリッジ構築(今回のペナン・ラーニングジャーニーのようなグローバルハブの発展)
- 外(マルチバース)へのブリッジ構築(空間表現/クリエイターエコノミーをグローバルで相互作用)
- そこからのα世代等(個性)からのインキュベーション(個性ポテンシャルと時流からプロデュース)
これらは、ビジョンに共感できる多くの方と、エコシステムとして実施していく必要性があります。
まず、「①外(グローバル)へのブリッジ構築」は、理解しやすいと思います。単純にリモートワークの進展などによって働く場所の縛りがなくなってきている大人と、不登校の代わりにフリースクールやオンラインスクールの進展によって場所の縛りがなくなってきている子供が、“逆”人口ピラミッド構成の日本(ジジイバース)の外側に自身の系を広げていくための環境創出です。今回の田原さんたちのペナン・ラーニングジャーニーのような活動を発展させていくことです。
次に、「②外(マルチバース)へのブリッジ構築」ですが、これは大人の理解がもっと必要なフェーズの気がしています。①と違って、世代として大人はピンと来ない人がほとんどのため、このような “時流(大きな文脈/次世代の基盤)” と子供たちがどのように重なるかをより観察し、環境プロデュースをしていく必要があります。これは言葉で説明してわかるものではないので、非常に難しいです。おそらく為せることは、「ビジョン予算」をエコシステムで取りに行き、「子供たち主導で」広がっていく系をクリエイトしていく、といった要素が非常に重要になってくると思います。
三つ目に、「③そこからのα世代等(個性)からのインキュベーション」ですが、これは②の難易度を一旦置いておけば、まずは個性(熱量)の表現→インタラクティブの場(環境)をたくさん作っていくことが、やれることな気がします。
①と③は、今回訪問したペナンでは、すでに少しずつ始められそうだと感じました。生まれる点をさらにどう発展させるかと、ペナン以外のグローバルハブ構築(中国人であればチャイナタウンみたく、現地の受け入れ環境/ビジョン共感)や、さらにはFuturismのような時流・大きな文脈と個性(熱量)の重ね合わせのような部分をどうするかが、この全体構造にメスを入れる活動に発展させる上で重要になっていくと考えられます。
なお、このような3つのベクトル進める上で、「”逆”ピラミッド人口構成(ジジイバース)」から「外へ外へのビジョン」への共感者を増やして、エコシステムを構築していくことが重要と感じます。そう考えると、まずは共感者を増やすといったことが①〜③全ての前提として重要なネクストアクションかもしれません。
また、重要なのは「外へ外へ」インタラクティブ(相互作用)系を広げて「閉じない」後に生まれた現象を、”逆”ピラミッド人口構成(ジジイバース)の日本にもフィードバックしていくことです。内側で何かをしてもなかなか正しい意思決定も引き出せずに現象が起こせませんが、外側で現象を起こした後に事実として持ち帰ることで構造に少しずつメスが入るかもしれません。それによって、この沈みゆくタイタニックから出られない人々の救いにも繋がると良いのではないかと思います。
※なお、私は英語も喋れませんが、それでも上述のようなことを個人的にも考え始めています
※AIや様々なファクター(変数)で、上述のすべての前提がまた変わってくるかもしれないということだけ注意書きしておきます
Futurist(フューチャリスト)コミュニティについて
50〜100年先の未来まで仮説・洞察し、現在にバックキャスト・プロデュースする集団。「未来は “待つ” ものではなく “歩む” ものである」を掲げる。現在異ジャンルのFuturistが79名関与し、都内複数拠点で月1程度で活動。各々がバックキャストするFuturist活動の相互支援やFuturism探求の視察・企画・PoCを実施。コミュニティ内の活動シナジーがきっかけとなって、Web3.0の産学研究PJ「C3F」なども生まれている。
ビジョン:「未来をバックキャストする集団・カルチャーを形成する」
あり方:「未来の常識を、現代でつくる人たち(=Futurist / フューチャリスト)
* HP:http://futurist.cross-community.net/
* Twitter:https://twitter.com/Futurist_SF
* YouTube:https://www.youtube.com/@sho-t
[ 活動内容の参考は こちら ]
Futurist(フューチャリスト)コミュニティに参加するには?
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