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<メタバース編>未来を仮説してみる【Futures Thinking(未来思考)実験編】

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はじめに

Futurist(フューチャリスト)コミュニティでは、中長期(10~100年後程度)の「未来」を洞察・認識する手法(Futures Thinking)について解説しています。例えば、10~100年後程度の「未来へのロードマップ」を誰でも作成できるようになることで、それぞれの活動の羅針盤として活用することを薦めています。

前回の<金融編>に続いて、今回は、具体的な仮説思考として、「メタバース」の中長期的な「未来へのロードマップ」を作成してみましょう。

本記事の内容は、あくまで未来洞察の手法を示す、「一例」としてのサンプルとなります

なお、「自分自身が納得できるレベル」で、最低限の論理的な確認を行いながら進めていきます。

参考

Futuristコミュニティでは、未来洞察をレベル分けしており、まずは以下表の「レベル2」の方法を示すところを体系化しています

今回の記事の最終イメージ

以下の “ロードマップ仮説(メタバース編)” が出来上がるプロセスを、本記事で示していきます

現状確認:メタバースの未来に向けた現在の取り組みについて把握

仮説を描く前に、まずはロードマップを描く前提となる、「メタバースの未来に向けた現在の取り組みを調査・確認します。(最終的に「仮説思考」をしていくことが大事なので、現状調査はアバウトで大丈夫です。)

そもそも「メタバース」とはどのようなものなのでしょうか

ウィキペディアによると次のように定義されています

メタバース ( Metaverse) は、コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、3次元の仮想空間やそのサービスを指す
(ウィキペディア, “メタバース”, より)

もっと簡単に表現してみましょう

メタバースとは、「複数が参加する3次元の仮想世界」のことです

と言っても色々な種類があるので分類してみます

「メタバース」の分類

1)視聴メディア
ディスプレイ、スマホでAR表示、VRゴーグル、AR眼鏡(スマートグラス)など
2)利用目的
ゲーム&スポーツ、チャット、会議、イベント開催、アイテム制作、景色を眺めるなど
3)世界の接続性
・クローズド・メタバース: 1つの世界に閉じている(支配的なプラットフォーマーの上で展開されるメタバース)
・オープン・メタバース: 複数の世界が接続されていて、アバター、アイテム、トークンなどを移動・交換できる(特定の支配的なプラットフォーマーがいないブロックチェーン/Web3.0などの仕組みを活用した分散オーナーシップ・メタバース)

例えば、
「あつまれ動物の森」はディスプレイで表示して多目的に利用できるクローズドなゲーム環境
・メタ社(旧Facebook)の「Horizon Workrooms」はクローズドなVR会議スペース
「ポケモンgo」はスマホでAR表示するクローズドなゲーム

次に、現在どのように使われているのかについて確認してみましょう。

「メタバース」で今できること

・チャット、会議
・多人数参加型3Dゲーム
・バーチャルイベント、コンサート
・アイテム(衣類、絵、アバター、建物など)制作、メタ世界の構築
など

ざっと見てみるとすでに便利な世界ができているように思いますが、どのような未来が「メタバース」に期待されているのでしょうか。

「メタバース」に期待される未来

・部屋にいながら、受講、ショッピング、観光、都会・田舎・別荘ぐらし
・オフィス代を支払わずに「メタオフィス」で起業、世界中の社員を雇用
・リアル世界では困難な実験(物理・化学実験、創薬、都市計画など)を仮想空間で実施
・異なる複数の性格や性別で生活
・好きな顔、服装、家具、家を現実より手軽に購入・制作
・デザイナー、ミュージシャン、芸術家など好きな職業を気軽に選択
・映画や小説のようなSF・ファンタジー世界で生活
・街中で顔を向けるだけで建物・場所・商品の情報を確認、時間シフトにより異なる季節、異なる時代の風景を鑑賞
など、リアル世界の地理や組織や物理的制約にとらわれることなく時空間を再構築して、かつては魔法としか思えなかった世界を展開する

こうしてみると超未来SF便利な世界が展開できそうですが、何が普及をさまたげているのでしょうか。

ざっと調査すると、今計画されている「メタバースの課題」として、主に次のものが確認できました。

「メタバース」の課題

課題① その世界を自然に感じらること
課題② 視聴デバイスが軽量であること
課題③ 魅力的なアプリが提供されること

今「メタバース」を多くの人が利用しない理由は「3D映像を見ると眩暈がする」「VRメガネをかけてすごすとか(重くて)ありえない」「その必要性が感じらないということです。

つまりその障害(課題)をとりのぞいてしまえば皆が魔法を使うことが普通になり、いつの間にか手放せないメディアとなる可能性を十分に秘めているということではないでしょうか。

「メタバース」に関連して、次のような取り組みが進められていることが確認できました。

「メタバース」に向けたの取り組み

3Dモデリング

リアル世界と見間違えるような景色、ヒト・モノ・建物などを、AIと連携してリアルタイムに構築する3Dモデリング

②VR・ARグラス、3D操作

 ➡VRゴーグル、スマートグラス(AR眼鏡)の軽量・高精細化
 ➡自然な操作をするためのコントローラー

メタバース・プラットフォーム

 ➡現実に近いリアルタイム3D環境(EPIC社のUnrealエンジンなど
 ➡アバターを利用したデフォルメ環境(メタ社のHorizon Worldsなど)
 リアル世界を再現しAR情報を重ねるミラーワールド(※1)

④AI自動化技術

 ➡ヒトとのインタラクション、画像生成、物理演算、自然言語処理など
 ➡メタバース・プラットフォームと連携

※1. ミラーワールド
・現実の都市や社会のすべてが1対1でデジタル化された鏡像世界
・スマートグラス(AR眼鏡
やスマホなどを利用することにより、現実の建造物やモノ、さらに動くヒト・車・モノに重ねて表示されるバーチャル映像(関連情報、時空を超える映像など)として見える
・広義には、リアル世界をそのままコピーしたメタバース

まだ少し大きいですが、ARグラスはすでにここまで実現されています

Nreal Air 「どこでなに見る?どう遊ぶ」編(https://youtu.be/nrO8BtqmnxI)より

「メタバース」の未来に向けたロードマップを描く
(仮説を描いてみる)

さて、上記までで、「現状(の取り組み)」をざっくり確認が終わりました。

それではここから、「未来」について仮説していくことにします。

起こりうる未来のロードマップを作成する際の基本として、大きく以下の2つの流れを考えてみましょう。

  1. 現在の取り組みの延長に考えられる未来
  2. “もしかしたら起こるかもしれない”、 不確実性がまだ高いけれど、産業構造を激変するかもしれない未来

flow1)現在の取り組みの延長にある未来(線形仮説)

仮説:
メタバースの課題が解決されて日常的にメタバースのアクセス頻度が増えていった結果、覚醒時間のうちメタバースを利用してい時間が84%となる未来を2070年に想定する流れ

flow2)産業構造を激変する未来(非線形仮説)

仮説:
自律分散AI・自動化が進むことで財やサービスが自動的・自律的に生産・供給されて、自然環境のように必要なときにいつでも利用できる社会環境(メタ・ネイチャー ※後述)を2120年に想定する流れ

さらに、2つの変化の流れとしてとらえます
 flow2-1)メタ世界において「メタ・ネイチャー」が増加していく流れ
 flow2-2)リアル世界において「メタ・ネイチャー」が増加していく流れ

現代の取り組みの延長にある未来(flow1について)

「未来仮説」を設定します。

理由(思考プロセス/手法):

まずはじめに、むかうべき未来の方向を定めるために「未来ターゲット」を設定します。

Step1)未来ターゲットの設定

現在の動向の延長にある「未来ターゲット」を発見的に設定する
手法:アブダクション、線形推論

-メタバースの課題が解決されていくにつれて日常的にメタバースをアクセス頻度が増えていき、覚醒時間(起きている時間)のうちメタバースを利用している時間が84%となるだろう(仮)

次に、現代の動向から「未来ターゲット」に向かって進む原動力となる「改革要素」をピックアップします。

Step2)改革要素の抽出(メタバース化要素)

要素① メタバース関連技術

3Dモデリング、VR・ARグラス、3D操作、メタバース・プラットフォーム、AI技術

要素② ネットワーク・携帯端末(スマホなど)の高速化

要素③ 高速分散ネットワークコンピューティング

要素④ メタバース・キラーアプリ

ユーザを魅了するゲーム&スポーツ、リアル世界に重ねるAR情報表示、VRスペース・会議など

最後に、上記の「メタバース化要素」をもとに、「未来ターゲット」に向かって進む「未来仮説」を設定します。

Step3)未来仮説の設定(メタバース化の推移仮説)

最低限の論理的な確認を行いながら「未来仮説(メタバース化の推移仮説)」を設定する

VR・ARグラス所有率(※2)メタ化率(※3)の推移を予測(仮説)

直近未来(5年~10年後): 未来仮説A
手法:線形推論
VR・ARグラス所有率「60%」、メタ化率「30%」を想定
・5年後には、メタバース関連の要素技術(要素①~③)の開発が進み、特に軽量(20g程度)で度数を自動調整できるVR・ARグラスの登場によりメタバース初期普及のための課題が解消されることから、初期ユーザを魅了するVRゲーム、VR会議、地図案内・都市情報表示ARなどのキラーアプリとともに(要素④急加速でクローズド・メタバースが普及していくだろう

近未来(10~50年後)  : 未来仮説B 
手法:線形推論、(アブダクション)
VR・ARグラス所有率「60%➡98%」、メタ化率「30%➡84%」を想定
・ヒトとメタバース関連要素技術(要素①~③)が共進化してリアル世界とシームレスな表現が可能となることから、メタバースは空気のように意識することなくそこに存在するものとなるだろう
・個人毎に異なる「自己実現・自己承認と娯楽」に応える多数のメタバースが競合して生成されることから、マルチバース(4)を自由に選択・切り替えながら生活・仕事をすることが日常となるだろう(異なる人格を切り替えて生活することが普通のこととなるだろう)

※参考としては、以前の記事(以下)など↓

中未来(50~100年後) : 未来仮説C 
手法:バックキャスト、(アブダクション
VR・ARグラス所有率「98%」、メタ化率「84%➡98%」を想定
・AI・自動化によりリアル世界とメタ世界が共進化しながら自律的に自己改変し続けることから、現実と仮想、ヒトとAI、自然環境と仮想環境の区別のない「自己実現・自己承認と娯楽」のための世界を自由に構築・複製・利用するようになるだろう

※2. VR・ARグラス所持率
AR・VRグラスを所持している人の割合

※3. メタ化率
(覚醒時間のうちマルチバースを利用している時間の合計)/(全人口の覚醒時間の合計)

※4. マルチバース
・リアルも含む複数のメタバースで構成される世界、メタバース間でアバター、モノ、トークンを移動・交換することができ、さまざまな価値観の経済圏=トークンエコノミー(※5)を形成する

・複数の社会構造(民主主義、資本主義、共産主義、封建主義)、景観(地理、時代、惑星)、物理・化学法則、目的(ゲーム、スポーツ、芸術、工芸)などのメタバースを選択利用できる

※5. トークンエコノミー
・仮想通貨を利用する「独自の経済圏」のこと
・複数の価値をもつマルチバースではあらゆる行動(チーム活動・仕事、ゲーム、購買、いいね、歩数、健康管理、地域貢献、脱炭素活動など)を価値に変換・交換する「独自の経済圏」を構築することとなる

ロードマップを比率で表現する:

Step3)で設定した「未来仮説」をイメージとして捉えるため、「メタバース普及の推移」を比率で表現してみます。(もちろん、あくまでイメージであり、仮説としてです)

メタ化率の推移【仮説】

産業構造を激変する未来(flow2について)

自律分散AI・自動化が進むことで財やサービスが自動的・自律的に生産・供給されて、自然環境のように必要なときにいつでも利用できる社会環境(メタ・ネイチャー※6)を2120年に想定する流れについて「未来仮説」を設定します。

理由思考プロセス/手法):

まずはじめに、むかうべき未来の方向を定めるために「未来ターゲット」を設定します。

Step1)未来ターゲットの設定

現在の動向の延長にある「未来ターゲット」を発見的に設定する
手法:アブダクション、線形推論

-自律分散AI・自動化が進むことで財やサービスが自動的・自律的に生産されるようになり、ヒトは社会環境と自然環境を区別できないメタ・ネイチャー(超自動化分散社会環境)(※6)上で生活することになるだろう

※6. メタ・ネイチャー(超自動化分散社会環境)
・自律分散AI・自動化が進むことで財やサービスが自動的・自律的に生産・供給されて、自然環境のように必要なときにいつでも利用できる社会環境

・サービスには、現代の国家や社会、共同体、サークルなどが提供する社会サービスを含む
・リアル世界ではベーシックインカム、地産地消、共有共同体(コモンズ)などをAI・自動化により提供する仕組みがベースとなる
参考:”豊かさと持続可能性の両立は「メタ・ネイチャー」が実現する ~NEC未来創造会議・技術分科会レポート~“, 斉藤 賢爾

次に、「未来のターゲット」をブレークダウンする「100年後の未来仮説」を設定します。

Step2)100年後の未来仮説の設定(メタ・ネイチャー仮説)

最低限の論理的な確認を行いながら「100年後の未来仮説」を設定する
手法:アブダクション

問い:
メタ・ネイチャーはどのように発生して、ヒトはどのような生活をおくるのだろうか?

未来仮説D. マルチバース(※2)がメタ・ネイチャーを加速
・AI・自動化が物理的条件(地理的位置、資源・工業生産など)に制約されないことから、マルチバース上での財・サービスの自動的・自律的生産が先行し、AIがヒトと区別できなくなったときを境に指数関数を超えるスピードで急激に進化するだろう
・AI・自動化とメタバースが共進化することから、AIが提供する仮想的なヒト・動植物・自然環境・物理法則は、自然界に存在するものと区別のつかない社会環境(メタ・ネイチャー)となるだろう

未来仮説E. マルチバース・コモンズと採集生活
100年後には、リアル世界においてもAI・自動化によって財・サービスが自律的・自動的に生産・供給されることから、リアルを含むマルチバースにおいて財・サービスを共有共同体(コモンズ)で共有し合い、必要なものを必要なだけ採集・利用する生活をするようになるだろう

→なお、これらの仮説の実現は、人々のライフスタイルや環境にも寄るため、非線形的である。思ったより完全シフトの実現が早い可能性もありうるだろう

次に、現代の動向から「100年後の未来仮説」に向かって進む原動力となる「改革要素」をピックアップします。

Step3)改革要素(メタ・ネイチャーへの移行要素)

要素 AI・自動化
ヒトと区別のつかないAIの誕生をきっかけとして、メタバースとAIが共進化してメタ・ネイチャーを実現する原動力となる
要素 仮想通貨関連技術
仮想的なモノの唯一性を保障するNFT、マルチバース・トークンの流通プラットフォームとなるDeFi、分散型自律組織(DAO)など
要素⑦ 限界費用の低下 
生活やインフラを維持するコストが限りなくゼロに近づいていく傾向
参考:<農業編>未来を仮説してみる【Futures Thinking(未来思考)実験編】

最後に、「メタ・ネイチャーへの移行要素」をもとに「未来ターゲット」「100年後の未来仮説」に向かって進む「未来仮説」を設定します

Step4)未来仮説のまとめ(メタ・ネイチャーへの移行仮説)

最低限の論理的な確認を行いながら「未来仮説」を設定する

直近未来(5年~10年後):未来仮説F クローズド・メタバースの時代
手法:線形推論
・急加速なクローズド・メタバースの普及(flow1)にともないヒトとメタバース・仮想的な財・サービスの共進化が進むことから、要素⑤⑥の技術・サービスが急速に成長してメタ世界と仮想的な生態系(ヒト・動植物・自然環境)・物理法則を自動生成・運用するためのAI・自動化技術がその需要とともに急速に立ち上がるだろう

近未来(10~50年後)  :未来仮説G メタ・ネイチャー創世期
手法:線形推論、バックキャスト、(アブダクション)
・ヒトと区別がつかないAI技術の誕生をきっかけとして(2038年ごろ、※7)、その12年後ごろから自己増殖的に超知的AIの開発が進むことから(要素①、※7)、ヒトにとって自然と感じられるような仮想的なメタ・ネイチャーがメタ世界に急速に広がるだろう
・マルチバース上でのヒトの行動がトークン・エコノミーを活性化し(要素②)、それを支える社会環境としてメタ・ネイチャーが進化していくだろう

中未来(50~100年後) :未来仮説H メタ・ネイチャー・コモンズの時代
手法:バックキャスト、(アブダクション)
・生産にかかわる限界費用がゼロに近づき(要素⑦)、AI・自動化によって財・サービスを自律的・自動的に生産・供給する社会環境が構築されることから(要素⑤)、メタ・ネイチャーをリアルと仮想の区別なくシームレスに利用できるようになるだろう
➡この結果、ヒトは財・サービスを共有共同体(コモンズ)で共有し合い、必要なものを必要なだけ採集・利用する生活をおくるようになるだろう

※7. 汎用AIの誕生から超知的AIまでの時期
https://www.metaculus.com/about/の75%値予測より(2022/6/6)
・弱い汎用AIの誕生: 2038年 (確信値75%)
➡チューリングテストに確実に合格することができ、アメリカ大学受験統一テスト(SAT試験)の全科目で受講者の75%のスコアを出せるなど、確信値75%で2038年と予測
・超知的AI: 2050年(確信値75%で弱いAI誕生の11.7ヶ月後
)
➡2021年に人間が実行できるあらゆるタスクを、その領域で最高の人間と同じかそれ以上に実行できるAI

➡超知的AIが超知的AIを設計・開発できることから自己増殖的に超知的AIがひろがる

ロードマップを比率で表現する:

最後に、flow2)で設定した「メタ・ネイチャーへの移行仮説」をイメージで捉えるため、「メタ・ネイチャー浸透」の推移を比率(メタ・ネイチャー浸透率※8)で表現してみます。(もちろん、あくまでイメージであり、仮説としてです)

 flow2-1)メタ世界において「メタ・ネイチャー」が増加していく流れ
 flow2-2)リアル世界において「メタ・ネイチャー」が増加していく流れ

※8. ヒトへのメタ・ネイチャー浸透率:
 (メタ・ネイチャー超自動化分散社会環境/(社会環境)

メタ・ネイチャー浸透の推移

多くの識者たちが短期間に汎用AIと超知性AIが誕生すると予測しています(※7)。2039年ごろのヒトと区別のつかない汎用AIの誕生をきっかけに物理的な制約のないメタバース上で進化し、汎用AIの誕生からわずか14年後の2053年には各分野の天才に匹敵する超知性AIが誕生するという。そして、それ自身が自律的に大量の超知性AIを生み出してネットワーク化していくことにより、ヒトをはるかに超える超脳力をもったAI社会がその数年後に構築されることでしょう。

スマートシティ、スマートファーム、スマートファクトリなどにおけるAI・自動化の取り組みは、超知性AIの広がりとともに財・サービスの費用をゼロに近づけて、地産地消で自動供給する仕組みをつくり、ヒトはリアル世界とメタ世界の区別なくメタ・ネイチャー(超自動化分散社会環境)から自由に財・サービスを入手できるようになります。

超AIをパートナーとして新時代を切り開くわずかな(?)スーパーヒューマンたちが何を考え何を生み出していくのかを推し量ることは困難ですが、現代の我々の想像をはるかに超える価値観の多元世界を構築する神のような存在となっていくのではないでしょうか。

さらに、ヒトの人口をはるかに超える超AIが創るメタAIネットワーク社会は、AI群の独自の価値観でマルチバース世界を多元世界にひろげ、宇宙空間に向かって増殖していくこととなるに違いない。

今回は、「メタバース」の未来の羅針盤として「レベル2(自分自身が納得できるレベル)のサンプル」で論理を展開してみましたが、第三者や組織を巻き込むためにはより詳細な動向調査、論理展開、企画書を作成する必要があります。


まとめ

今回は以上です。

上記に挙げた内容は、業界に詳しくなくても、仮説を描いてみる実験を示しました。

実際には、現在が未来にスライドするに連れて答え合わせを随時していき、仮説を修正していく必要があります。また、これらの仮説を元に、実際に自ら事業や実験をして解像度を高める方法もあります。他にも、有識者との試行錯誤を元に、解像度を高めてピボットしていく方法もあります。ここで重要なのは、まずはざっくりと、Futures Thinking(未来思考/仮説)を行うことにより、スタートラインに立つようなイメージとなります。

Futurist(フューチャリスト)コミュニティについて

Futurist(フューチャリスト)が集まるコミュニティ。「未来は “待つ” ものではなく “歩む” ものである」を掲げる。都内複数拠点で月1程度で活動。slackやZoomでは日常的に交流。各々がバックキャストするFuturist活動の相互支援やFuturism探求の視察・企画・共有会なども実施。 [ 活動内容の参考は こちら ]

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佐藤基
『フューチャー・リテラシー ~ 過去から未来へ,可能性の未来を読み解く ~』 を執筆中。 「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルをもとに過去・現在・未来を読み解きます。